4月に大学へ入学される学生の皆様や親御様向けに、大学が販売する推奨パソコンについて、私立大学向けに推奨PCの販売経験がある元IT営業マンが解説します。
2019/02/24 作成
2023/02/16 更新10回目 2023年度版の最新情報に更新
目次
- 目次
- 大学推奨パソコンとは
- 大学推奨パソコン 買うべきか
- 大学推奨パソコンの特徴
- 大学推奨パソコン裏話
- 一般的な大学推奨パソコンのスペック
- スペック解説
- 現在使用しているノートPCのスペックを調べる方法
- 大学推奨パソコンと同程度のスペックはいくらで買える?
- 大学推奨パソコンまとめ
- 週間人気ゲーミングPC記事ランキング
大学推奨パソコンとは
大学とIT企業がコラボして販売するPCです。IT企業は大学にパソコンショップを出していたり、学内の学生向けITサポートセンターを運営している企業が担当するケースがほとんどです。大学の大規模ITシステムを受注している場合も多いですね。
大学推奨パソコン 買うべきか
結論から言えば、買わなくてもいい です。特に市場価格から大きく乖離していて、生協や大学そして企業の利益がかなり乗っかっていると思われる大学の推奨パソコンは本当にオススメできません。
大学推奨パソコンの特徴
【保証期間】
一般的なPCは標準で1年保証。有料の延長保証で3年間まで保証が適用されますが、大学推奨パソコンでは在学期間を考慮して4年間の保証が組まれています。
【学内でサポートが受けられる場合が多い】
PC操作やトラブルなど分からないことを学内のサポートセンターで相談できる環境を用意している大学が大半です。
【価格がスペックの割に高い】
大学によって若干の差がありますが、基本的に同等のスペック(3年保証)をご自身で購入された方が数万円安く購入できます。
大学推奨パソコン裏話
【推奨パソコンの目的と大学の事情】
なぜ大学は推奨パソコンを販売するのでしょうか。それは学生の充実したキャンパスライフを効率よく支援するためです。入学が決まった親御さんから一人一人「大学入学にあたりパソコンは買った方がいいのか、授業にパソコンは必要か、必要なスペックは?」と問い合わせがあると大変ですので、推奨パソコンとして入学予定者にパンフレットで案内する事である程度効率が良くなります。
大学が儲けようとして推奨PCを販売しているケースはあまりないと思われます。私が担当していた福岡市内の私立大学のケースでは推奨PCとしてモデルの検討をしてもらうために利益0で数台販売したり、無償で貸出機を手配していた程度です。中には販売奨励金を要求する大学も少数ですがありました。そういった大学で推奨PCを販売すると奨励金を織り込んだ金額になってしまいますので、結果的にあまり売れ行きはよくありません。どちらかというと利益を出そうとしているのは販売企業や生協ですね。
大学推奨ノートPCのメーカーは誰もが聞いたことある国産メーカーが採用されるのですが、私が担当していたとある大学では、10年以上も前にノートPCの低価格化が進む中で、高いモデルばかりでは良くないとの事で、新興メーカーの安くコスパの良いノートPCが推奨PCとしてふさわしいか情報処理に関する会議で教授の方々と情報処理センターのスタッフで議論していましたし、いくら推奨PCが割高とはいえ市場価格とあまりにもかけ離れると「〇〇大学や△△大学の生協は推奨PCをぼったくりで販売している」と噂になりますので、販売価格(利益)を抑えるように大学はPC販売企業に要求してきます。
このように各大学が大学推奨PCにどの程度力を入れているかは同スペックの市場価格と比べてどの程度上乗せされているか(上乗せが少ないほど真剣)である程度察する事が可能です。
【安心の国産ブランド?】
NEC・東芝・富士通の3社は、名だたる国内企業でPC分野においても長年活躍してきましたが、それは過去の話です。既に上記3社のPC部門は海外資本に吸収されブランドだけが維持されている状態です。国産かつ国内資本を貫いているのはPanasonicのLet's noteとVAIO(SONYから分離)だけです。レッツノートの上位モデルは日本のIT企業社員にも愛用されている非常に評価の高いノートPCですね。
【販売企業側から見る大学推奨PC案件】
大学にPCショップやサポートセンターを置いたり大規模なIT案件を受注し大学の情報処理センターに食い込めている企業にとって推奨PC販売は労力のわりに利益の出る美味しい案件です。私がIT企業に勤めていた際に担当していた複数の私立大学では1台当たり3万円前後の利益が見込めて毎年数百台ほど販売出来ていました。
また、購入検討者の多くは大学推奨パソコンの適正価格を探るため、大学推奨パソコンの型番を検索して市場価格を探ろうとするのですが、これは意味がありません。大学推奨パソコンは市場に出ているモデルを流用するのですが、大学推奨パソコン専用の型番を発行することが多いため型番では比較が出来ない場合がほとんどです。
【Office付きのカラクリ】
大学推奨パソコンのうたい文句の一つにMicrosoftのOfficeソフトが付属していますよ。とアピールする場合があるのですが、これは大学がMicrosoftの包括ライセンス契約を結んでいるため学生のパソコンにも無償でOfficeをインストールする事が可能となっています。Officeソフトはワード・エクセル・パワーポイントまで利用するとなると通常は2万円以上するのでその分価格に上乗せできるわけですね。
大学が学生用に包括ライセンスで契約しているライセンスは学内のPCや大学推奨PCだけがOffice無料というわけではなく、在学する学生は個人のノートPCに無償でインストールする事ができるため大学推奨PCのメリットとはなりません。
一般的な大学推奨パソコンのスペック
- OS:Windows11 ProまたはHome 64bit
- Office:含まれている
- CPU:低電圧のi5またはi7
- メモリ:8GB
- 容量:256GB SSD
- モニタ:解像度1920x1080または1920x1200の12~14インチが主流
- 重さ:持ち運びを考慮し1kg~1.5kg程度
- 保証:4年間の自然故障保証+物損保証がつく場合あり
- 価格:同スペック(3年保証)の市場価格と比べて数万円ほど高い
スペック解説
次は大学推奨パソコンについて詳しく解説していきます。
OS
最新のWindowsは2021年10月に提供が開始されたWindows11です。大学は一般企業と違ってOSのアップグレードが速いです。理系の学部では専用のアプリケーションがらみで、Windows10のままになっている教室もあるでしょうが、既に大半の大学教室でWindows11が主流となっているでしょう。、ここ数年以内に製造されたPCであればここ数年以内に購入したノートPCであればWindows10から無料でWindows11にアップグレードできます。
家電量販店やインターネット上で販売されている激安ノートPCの中にはGoogleの「ChromeOS」がOSとしてインストールされているノートPCがあります。「ChromeOS」でMicrosoftのオフィスソフトを使用するには制限がありライセンス形態も異なりますので、「ChromeOS」は避けて下さい。
Office
大学は学生に対して在学中に無料で利用できるOfficeライセンスを所有しており学内のサポートセンターで無料インストールする事が出来ますので、自身のノートPCにOffficeが付いている必要はありません。ですので大学推奨PC以外で、新規にノートPCを購入する場合、Officeなしで良いため価格を抑えることが出来ます。
容量
ノートPCにデータを保存するパーツはノートPCの場合、低速なHDDではなくSSDが主流です。起動やアプリケーションの起動スピードがHDDとSSDではまるで違いますので、SSD搭載モデルがオススメです。物理的な衝撃に強いのもSSDですね。
SSDの容量は下位グレードだとコストを抑えるために256GB。上位グレードは512GB以上が搭載れます。
CPU
CPUはi5もしくはi7が選ばれi7の方が性能が高くなります。バッテリーの駆動時間を延ばすため低電圧のモデル(性能が低い代わりに省エネ)が採用されています。
レポート作成やネットの閲覧、オフィスソフトの使用など一般的な負荷の軽い用途ではi5でさえオーバースペックなのでi3でも十分です。
最近ではAMD社のRyzen CPUを搭載しているノートPCも増えてきました。Ryzenの場合もIntelの core iシリーズと同じようにRyzen3やRyzen5で大丈夫です。
AdobeCCソフトなど専用の重たいソフトを使用する場合はi5やi7が必要です。
メモリ
メモリはほぼ全てのモデルが8GBを搭載しています。在学中の一般的な用途であれば8GBもあれば十分です。8GBの下は4GBですが、CPUにi5やi7でメモリが4GBというのはバランスが悪くなってしまいます。
AdobeCCソフトなど専用の重たいソフトを使用する場合は16GBが必要です。
グラフィック性能
ノートPCは軽量でコンパクトなため、グラフィック性能は一般的にデスクトップより弱く、グラフィック性能を高めようとするとかなり高額になります。但しレポートを作成したりOfficeを利用したり、ネットで調べ物をする程度では高性能なグラフィック性能は要求されませんので問題ないでしょう。
学業とは関係ありませんが、大学推奨PCで重たいPCゲームは難しいと考えてください。工学部など理系の学部で3Dグラッフィクスソフトなどを利用する場合は大学のデスクトップPCを利用しましょう。
クリエイティブな作業(例えばAdobeのイラストレーターやフォトショップ)やEsports系のゲームもある程度させてあげたい場合は、
【ドスパラ】 のガレリアシリーズや
【マウスコンピューター】のG-Tuneがオススメです。
私はPC専門店及びeスポーツ施設の取材を行っている関係でドスパラのPCはこれまでに5台、マウスコンピューターのPCは1台購入経験があります。
現在使用しているノートPCのスペックを調べる方法
キーボードの右下にある「Windowsキー」と「R」キーを同時に押すと
「ファイル名を指定して実行」が表示されます。そこに「dxdiag」と入力してOKを押すと
「DirectX診断ツール」が起動します。最初に表示されている画面で
OS…オペレーティングシステム欄
CPU…プロセッサ欄
メモリ…メモリ欄
で現在のスペックを確認可能です。
グラボは「DirectX診断ツール」の上の方にある「ディスプレイ1」タブをクリックすると確認できます。
大学推奨パソコンと同程度のスペックはいくらで買える?
大学推奨パソコンで検索した時に上位表示された大学の推奨パソコンスペックと価格を表にまとめました。
今回は上位表示されていなかったので表にまとめていませんでしたが、九州大学の大学推奨PCは毎年良心的な価格設定ですね。
ではこれらのスペックを普通に購入すると、どれくらいの価格で購入できるでしょうか。パソコンはネットで買うと家電量販店で購入するよりも安く購入できるので、ネット購入を前提にご紹介します。
【ドスパラ モデルの場合】
(5年保証の場合+6,600円)
2021年の11月に発売された機種です。私は自費で福岡から東京まで製品発表会に行ってきました。発売から1年以上経過したモデルなの?と思うかもしれませんが大学推奨PCで選ばれるモデルは2年以上前のパーツで構成されているモデルが大半です。
メモリが推奨PCの安いモデルで一般的な8GBではなく、2倍の16GB搭載されています。更に大学推奨PCでよくみられる動産保証もセーフティサービスという名称で別途加入する事が出来ます。
ドスパラはネットのPC販売大手メーカーで全国に約40店舗以上の専用店舗も設けています。PCメーカーで今最も勢いのあるメーカーと感じていて、この1年半で10店舗以上、新規オープンしています。一番有名なのはゲーミングPCでe-sportsのプロ大会でも採用されています。プロの大会で採用されるには高負荷時の信頼性が重要なので大会の運営側からも評価が高いのでしょう。
当ブログはPCゲームを快適に遊べるパソコンを紹介が中心のブログなのですが、コスパを比較した時にドスパラがNo.1になることがほとんどです。私も社会人になって初めて自分で購入したパソコンはドスパラで購入して5年間愛用していたほか、2021年11月に25万円のPC、2023年1月に17万円のノートPCを購入しました。
紹介したモデルは大学推奨パソコンと同等スペックなのに価格がかなり安いですね。Officeが付属していないので、入学予定の大学で「学生が既に持っているノートPCにOfficeが無料でインストール可能か」確認しておきましょう。
【マウスコンピューター モデルの場合】
【マウスコンピューター】はTVCMなど宣伝にも力を入れており、一般消費者の方はドスパラよりもマウスコンピューターの方が知っている方が多いかもしれません。マウスコンピューターのノートPCは大学推奨PCとして東京電機大学など複数の大学が採用しており拡大傾向にあります。上で紹介したドスパラと比べると価格は若干高い傾向にありますが、セール品や新品のアウトレット品がすごくお得なので狙い目です。
他にはLenovoというメーカーもネットで安く購入できます。LenovoはNECのPC部門を買収したので国内の大手PCメーカーとも渡り合えるブランドです。
大学推奨パソコンまとめ
大学の推奨パソコンは4年保証と学内でのサポートが受けられる代わりに相場より割高となります。大学によって似たようなスペックでも価格差がかなりあるので割高感が強い大学の場合はドスパラやマウスコンピューターやLenovoなどで購入された方が良いでしょう。その際は入学する大学に必ず「学生の所有するノートPCにOfficeを無料でインストールできるか」を事前に確認されてください。インストールできるのであればOfficeなしのモデルでよいので数万円以上安く購入することが可能です。
ドスパラ公式サイト
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